サスペンションのばねにはいろいろな種類がありますが、その中でもばね端部の形状を指してオープンエンド、クローズドエンドなどと呼ばれることがあります。
こういったばねの端部は座巻きとも呼ばれますが、意味としては「ばねのうち有効巻数に数えない部分」といったあたりになります。
言葉を変えると、「ばねとしては使わない部分」ということになるでしょうか。
有効巻数には含まれないわけですからね。
おまけおまけ(笑)
ところでオープンエンド形状のばねは、クローズドエンド形状のばねに比べて初期が柔らかいそうです。
おまけ部分のばね定数は、製品としてのばね定数よりも低いため、座巻き部分が線間密着するまでの間は本来よりも低いレートになるわけですね。
そのため、例えば「オープンエンドは乗り心地がいい」あるいは「初期のレートが出ないからステアの反応が鈍い」と言われることがあります。
乗り心地が良く感じたり、反応が鈍く感じたり、そういった印象を受けたのであれば、確かにそう感じたのかもしれません。
ただ、ここでひとつ注意するべきポイントがあります。
それは
ばね単体で話をするときの「初期」と、サスペンションのストロークとしての「初期」は、別の範囲を表している
ということです。
ばね単体で話をするときの「初期」とは、ばねに全く荷重が加わっていない状態からスタートして、そこから荷重が増えていく範囲のことを言います。
それに対してサスペンションのストロークは、1G、つまり車重がかかった状態が基本になりますから、そこから荷重変化し始めるところが「初期」ということになります。
オープンエンド形状のばねの座巻きが線間密着する荷重の大きさが、例えば50kgfだったとすると、オープンエンドの特性として柔らかさを感じられる範囲は0~50kgfであるわけです。
ところが車両に取り付けられた状態のばねには車重がかかっていますから、僕のロードスターのリヤ側であれば、ばねには300kgfくらいの荷重がかかっているのが標準状態です。
走行するといろんな要因が入るので常にぴったり1Gかかっているわけではありませんが、0~50kgfよりはずいぶん大きいという意味で、大体そのくらいです。
そこからハンドルを切ればアウト側は350kgf、400kgfと増えていきますし、イン側は250kgf、200kgfと減っていきます。
ちょっとした段差を越えれば一気に500kgfくらいの荷重がかかります。
バウンドすれば荷重は300kgfくらいを境にして上回ったり下回ったりします。
このとき、ばねにかかる荷重が0~50kgf近くまで下がるということは、どういうことでしょうか?
ハイレートなばねで、落差の大きなマンホールを踏んだとき、その一輪は50kgfを下回るかもしれません。
サーキットスペックのFF車両でブレーキングしながらコーナに突っ込めば、リヤ内輪は50kgfを下回るかもしれません。
ジャンピングスポットでジャンプすれば、4輪とも0kgfになりますね。
このような場合に、ばねのオープンエンド部分がオープンします。
そこからの荷重が増えてオープンエンド部分がクローズするまでの瞬間において、感性の豊かな人であればオープンエンド形状のばねの特性が感じられると思います。
「思ったより特別なシチュエーションだけじゃねーか!」という方と「いやそういうシチュエーションって結構多いでしょ」という方がおられるかもしれません。
感じ方は人それぞれなので、皆さんにお任せします。
同じ「初期」という言葉でも、実際の範囲は違うというお話でした。
ばね単体での「初期」とサスペンションのストロークとしての「初期」、それぞれ具体的に何kgfくらいのときなのか?を考えてみると、理解の助けになるかもしれません。


